ガソリンエンジンの自動車が誕生して130年ほど経ちましたが、まだまだ車は日々進化していますよね。
世界では12億台もの自動車が走っており、さらに人口増加も止まらず、自動車台数は2030年には20億台になると予想されています。
台数が増え続けるなか課題となってきたのが地球温暖化や燃料枯渇などの環境問題ですが、その対応策の一つとしてハイブリッド車やEV車(電気自動車)が誕生しました。
こういったエコカーや次世代自動車の誕生により燃費の向上や環境汚染が軽減され、ガソリン駆動からモーター駆動への変化ということでかなり話題にもなりましたが、それと並行するように進化してきたのが先進運転支援システムではないでしょうか。
各社発表している先進運転支援システムの中で今回はスバルのアイサイトに注目してみたいと思います。
いったいアイサイトとは何なのか?最新のアイサイトはどこまで進化したのか?
アイサイトとは?
ここ数年で急激に進化しているものに先進運転支援システムがあります。
この先進運転支援システムの進化が急がれている背景にはやはり交通事故問題があります。
交通事故は環境問題に次ぐ大きな課題となっていて、日本でも毎年50万件以上の交通事故が発生していて、中でも高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違いによる誤操作や高速道路の逆走などによる事故が大変多くなってますよね。
交通事故の9割は誤操作など人間に関わる原因と言われていて、そういった事故を軽減させるのに効果的となる技術に「自動運転技術」と「コネクテッド技術」があります。
自動運転技術とは人や物をすばやく認識したりハンドル操作のサポートなどのこと。
コネクテッド技術とは様々な機器を常時コンピューターネットワークに接続して利用する技術のこととなります。
知ってましたか?
この2つの技術を融合させたのが現在の先進運転支援システムで、英語表記ではADAS(Advanced Driver-Assistance System )です。
国内メーカーでは、トヨタのトヨタセーフティセンス、ホンダのホンダセンシング、日産のプロパイロット、マツダのi-ACTIVSENSE、そしてスバルのアイサイトが主流となっているんです。
これらの先進運転支援システムに欠かせないのがカメラの機能や各種センサーになるのですが、まずは基本となるカメラやセンサーの事を!!
●ADASに採用されている機能
■車載カメラ
従来の車載カメラといえばバックモニターなどの視覚を補うビューカメラとして使われることがほとんどでしたが、画像認識技術が大幅に向上したことによりカメラで撮影したデジタル画像データを元に車両や歩行者、交通標識などを認識してドライバーに注意、警告を促したり、場合によっては直接自動車を制御するための入力センサーとしての機能を持つようになりました。
単なるビューカメラから現在のADASに欠かせないほどの機能をもつほどになった車載カメラですが、大きく分けて単眼カメラ(モノカメラ)とステレオカメラに分けられます。
単眼カメラとは日常でよく目にするカメラの事であり、モニター機能に使われるカメラはこの単眼カメラが主流となっており、この単眼カメラの利点としては、低コストで設置できサイズが小さいため設置場所の自由度が高いこと。
欠点としては認識する対象が限定されることと距離計測した場合に実際の距離との誤差が大きくなってしまう事になります。
一方ステレオカメラとは、人間の眼のように2つのカメラで対象を測定し、その視差により制度の高い距離測定を可能にすることにより奥行き情報をより正確に捉えることができるようになっています。
利点としては交通標識や白線といった静止している物だけでなく、移動している車や人などの距離情報を生成することが可能になったことであり、欠点としてはキャリブレーション(ディスプレイなどの色再現性を、正確に表したり安定にするために調整すること)が難しく、計算量が増加することとなります。
つまり、単眼カメラとステレオカメラの違いはステレオカメラのほうが視野角が広く取れ、横方向の検知範囲や画像対象物に深度(どちらが奥か)がわかるといった点なんですね。
■ミリ派レーダー
ミリ派レーダーとは、ミリ波と呼ばれる高い周波数の電波を使った高精度で高視野角のレーダー技術のことで電波を使って車両や歩行者を検知するレーダーです。
これにより40m離れた地点にいる歩行者や自動車、自転車などを20cmの距離分解能をもって、0.1秒以下で検知することを可能になっているんですよ。
カメラタイプの弱点として、雨や霧、逆行や夜間などの影響を受けやすいところにあるのですが、ミリ派レーダーはそれらの影響を受けにくいので視界が悪い夜間走行や悪天候にも強いという特徴があります。
■LiDAR(ライダー)
LiDAR(Light Detection and Ranging)とは、「レーザーレーダー」や「赤外線レーザースキャナー」と言われることもあり、レーザー光を照射し、それが物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測して物体までの距離や方向を測定する機能になります。
照射した範囲を点群と呼ばれる細かい点で立体的に把握することが出来るので、物体の形状や位置がわかり周囲を3Dモデル化することが出来ます。
■超音波センサー
超音波センサーとは、超音波を利用して距離を計測するセンサーです。
センサーヘッドから超音波を発信し、対象物から反射してくる超音波を再度センサーヘッドで受信するのですが、その時の発信から受信までの「時間」を計測することで対象物までの距離を測定する機能となり、超音波を使うので遠くには飛びませんが、近距離の障害物の検知に向いていて小型化しやすくて安価で出来るため、バンパーなどに何個も付いているのを見たことがあるかと思いますよ。
本題のアイサイトは?
アイサイトの機能
ここから本題であるアイサイトについてのご紹介をしていきたいと思います。
スバルはドライバーが運転に必要な情報は2つの目から得ているということから、「ドライバーをサポートするには人間と同じように2つのカメラで物を見るシステムが最適」だと考えてアイサイトの開発をしてきました。
そんなアイサイトに搭載されている機能をまとめてみました。
■ステレオカメラ
アイサイトの大きな役割を担っているのが「ステレオカメラ」ですね。
ステレオカメラは人間の目と同じように左右についていて、右のカメラから見た映像と左のカメラから見た映像を重ねることによって対象物が近くにあるのか遠くにあるのかを判断しています。
それと同時に対象物が人間なのか車なのかを判断したり、白線を認識することではみ出した時に警告してくれます。
■プリクラッシュブレーキ
プリクラッシュブレーキとは前を走る車に追突しないようにサポートしてくれる機能です。
追突の危険がある時は警告音などで注意を促し、万一の時は 強い自動ブレーキをかけます。プリクラッシュブレーキには3段階あり、1段階目は警告のみ、2段階目は一次ブレーキで3段階目は二次ブレーキとなります。
■全車速追従機能付クルーズコントロール
全車速追従機能付クルーズコントロールとは前方の車の車速と車間を認識することにより、減速から停止までを自動で行う機能となります。
また、前方の車が進み始めても自動で再発進することが出来るので、長時間の運転疲れや渋滞のストレスを軽減することが出来ます。
■AT誤発進抑制制御
最近ニュースなどでも良く見ますが、発進時のアクセルとブレーキの踏み間違いやシフトの入れ間違いなどの誤操作による前方の壁にぶつかることを防ぐ機能ですね。
特に高齢者による事故が多発していますので、この機能によってかなり軽減されることが予想されます。
■アクティブレーンキープ
高速道路や自動車専用道路での走行時のみ、ステレオカメラで走行車線両側の白線を認識してステアリング操作のアシストを行い、車線内中央付近の維持や車線逸脱抑制をすることによりドライバーの負担を大幅に軽減します。
■各種警報やお知らせ機能
車が白線からはみ出したり、前方の車との距離が詰まったり広がったりした時など様々な状況に警告音や表示によってお知らせしてくれる機能となります。
以上がアイサイトの主な機能となるのです。
スバルはさらに進化させた「アイサイト ツーリングアシスト」の新機能を登場させていますのでご紹介したいと思います。
アイサイト ツーリングアシストとは?
2008年に登場した初代アイサイト。
その後様々な進化を重ねver.2、ver.3とバージョンアップして、初代から9年経った2017年の夏に登場した新型アイサイト。
それが「ツーリングアシスト」なんですよ。
このツーリングアシストは「疲れを減らし、愉しさを深める新機能」というコンセプトの通り、最大の特徴が操作をアシストすることでドライバーの疲れを軽減させることにあります。
これまでのアイサイトでもかなり軽減する要素はあったのですが、ツーリングアシストではさらに新たな工夫が追加されました。
その新たな機能により生まれるメリットは
①疲れにくい
高速道路や自動車専用道路での運転の主要な操作を自動でアシストすることにより、様々なシーンで疲れやストレスを大幅に軽減します。
②安心して使える
機械的でぎこちない動きや急な制御が少なく、人の感覚に近い自然でなめらかな制御を実現。
③人生にもっと愉しさを
移動がラクだから目的地で思い切り遊べる。
次はもっと遠くまで行きたくなる。
乗る人にそう思っていただける性能を目指しました。
なんとも贅沢なツーリングアシスト!
ツーリングアシストが従来のアイサイトと違う点は主に2つです。
まず一つ目に「クルーズコントロール機能の上限値アップ」です。
クルーズコントロール機能はこれまでのver.3でも搭載されていたのですが、上限速度が100km/hでした。
当然上限速度を越えるとクルーズコントロール機能は使えませんので、ツーリングアシストでは上限速度を120km/hに上げることによって現在の法定速度より余裕を持たせたことと、今後高速道路の法定速度が段階的にではありますが120km/hになることが決まっていますので、そこに向けた機能変更と言えます。
二つ目は「アクティブレーンキープ機能のステアリング制御力アップ」です。
アクティブレーンキープ機能はver.3からの新機能となっていたのですが、ver.3では60km/h以上の速度でないとこの機能が働かない設定となっていたので高速道路などでしか使うことができなかったのですが、ツーリングアシストでは0km/hからシステムが作動するように進化しましたので一般道で使用することが出来るようになったことと、渋滞時のノロノロ運転でも大きな効果が期待できますので疲労軽減やイライラの解消になることが予想されます。
ここまでいろいろとご紹介しましたが、ツーリングアシストはアイサイトver.3よりもさらにドライバーの負担を軽減されるように考え抜かれ、使い勝手よい機能ばかりとなっています。
しかしまだ2017年に登場したばかりなのですべての車種に搭載されているわけではありませんので、次でツーリングアシストを搭載した車種をご紹介したいと思います。
ツーリングアシスト搭載車は?
2018年現在、スバルの最新技術を集結させたツーリングアシストの搭載車は2車種となっています。
今後随時増えてくると思いますがここではその2車種をご紹介していきたいと思います。
LEVORG(レヴォーグ)
全長×全幅:4690mm×1780mm
燃費:13.2km/L~16.0km/L ※JC08モード
乗車定員:5名
価格:2,862,000円~
レヴォーグといえば、かつてのスバルの人気車種レガシーツーリングワゴンの後継にあたる車種であり、車好きの間ではとても人気の高い車種なんですよね!
エンジンはスバル伝統の水平対向4気筒でターボを装着し、排気量は1.6Lと2.0Lの2種類となっていて全グレードでターボを装着しているのですが、1.6Lでも自然吸気の2.5Lに匹敵するパワーを持っています。
トランスミッションにはスバルが新たに開発した次世代CVTであるリニアトロニックが搭載され、このリニアトロニックにより、従来のCVT車よりも高い燃費性能と走行性能を両立させることが出来ました。
そして気になるツーリングアシストですが、全グレードに搭載されています。
WRX S4
全長×全幅:4595mm×1795mm
燃費:12.4km/L~13.2km/L ※JC08モード
乗車定員:5名
価格:3,369,6000円~
WRXは実質的に「レヴォーグ」のセダン版に当たるのですが、こちらも全グレードでターボを装着しており排気量は2.0Lのみとなっています。
トランスミッションはスポーツ性能に特化したスポーツリニアトロニックを搭載していますので、高い耐久性とアクセルに対しダイレクトに反応する加速レスポンスを実感することが出来ます。
ツーリングアシストは全グレードに搭載されています。
気になる方は、スバルのお店にゴー!!
まとめ
各国内メーカー独自の先進運転支援システムがある中、非常に衝突回避性能が高いと言われるアイサイト。
最新のツーリングアシストになり「ぶつからないために」から「疲れないために」が追加され進化し続けるアイサイトですが、やはり実際乗ってみて初めてそのすごさが実感出来ると思います。
もともとのすばらしいスバル車の性能に確実な安心感を追加したツーリングアシストを一度体験してみてください。
きっと驚くと思いますよ。