車、電車、飛行機、船など乗り物に長時間乗っていると
気持ち悪くなることがありますが
それを車酔いや乗り物酔いと言います。
車酔いしやすい人なら、気持ち悪くなるだけでなく
頭が痛くなったり実際に吐いてしまったりといったこともあるのではないでしょうか。
そんな経験は多かれ少なかれ誰にもあるものですが
車酔いを不安に感じて乗り物に苦手意識があるようでは困ってしまいますよね。
また、小さなお子さんですぐに車酔いすることにお悩みの親御さんも多いことでしょう。
そこで、車酔いの原因や症状、少しでも車酔いの症状を抑える対策や予防策を見ていきましょう。
車酔いの原因
車酔いとは車に乗っている時にその揺れで起こる症状のことで
車だけでなく揺れのある乗り物に乗っていると起こることがあります。
医学的には加速度病や動揺病とも言いますが
車酔いしやすい人なら遊園地の観覧車やメリーゴーランドでも起こることがあるでしょう。
その原因は、乗り物のスピードの変化や繰り返す揺れによって
内耳の三半規管などの器官の働きが乱されることで
それによって自律神経や平衡感覚まで乱されて気持ち悪くなってしまうのです。
また、脳が次々と流れる視覚情報を処理し切れないことも原因の一つに数えられます。
つまり、実際に乗り物に乗って動いていることが重要なのでなく
次々と変化する情景に脳が付いていけなくなることが大きな問題なんですよ。
車内での読書や携帯電話などは視線が細かく動かされますし
また、目の前にある画面が上下左右に激しく動く映像を見ても同じです。
だから、最近耳にするVR酔いも原理的には車酔いと同じですね。
さらに、実際にそういう外的要因で自律神経や平衡感覚が乱されるだけでなく
「車酔いしたらどうしよう」という不安やストレスも車酔いを引き起こす原因です。
自律神経の変調が原因の一つですので、体調が悪い時もふだんより車酔いしやすくなりますよね。
ほかにも、食べ過ぎ、空腹、睡眠不足、アルコールや炭酸飲料の飲み過ぎなども
体調の悪化から車酔いを引き起こします。
また、体温が上がることも自律神経の乱れに関係しますので
衣服の締め付けがきつい場合や厚着し過ぎの場合も危険です。
車で言えば、夏場に冷房の効きが悪かったり
冬場に暖房を効かせ過ぎたりして車内の温度が上がるような時は気を付けましょう。
なお、同じ「酔う」という言い方をしますが
車酔いとお酒に酔うことはメカニズムがまったく異なります。
自律神経の乱れなどが原因の車酔いに対して
お酒に酔うことは
アルコールの分解過程で出るアセトアルデヒドの作用により脳の活動が抑制されてしまうことが原因です。
車酔いの症状
車酔いの症状は、その原因のところでも少し触れたように
吐き気や頭痛が代表的なものです。
そこまでではない状態、たとえばお腹に違和感があったり、
冷や汗や生あくびが出たりといった状態も車酔いの初期症状に数えられます。
やがて顔面蒼白になったり手足が冷たく感じたりして
めまい、頭痛、嘔吐と症状がエスカレートします。
しかし、これらの症状は乗り物から降りるとたちどころに回復します。
また、乗り物に長時間乗っているうちに、三半規管が揺れに
慣れてくると自然と治まってくることもありますよ。
要は慣れですので、小さな子どもは車に乗り慣れていないこともあって車酔いしやすいですが
大人になって毎日のように乗り物に乗るようになると
だいたいの人は車酔いしなくなるものですよ。
車酔いの対策
もし車酔いになってしまったら?
以下に挙げる方法で症状の緩和を図ってみましょう。
ただ、いちばん効果的なのは酔い止め薬を飲むことですね。
嘔吐中枢を抑制してめまいや吐き気を和らげる抗ヒスタミン作用のある薬
副交感神経の働きを抑えて自律神経のバランスを正常にする副交感神経遮断作用のある薬
直接胃に作用して胃の粘膜の知覚神経を麻痺させて嘔吐を抑える胃粘膜局所麻酔作用のある薬など
乗り物に乗る前でもすでに車酔いしている状態でも効果が期待できます。
しかし、毎回のように車酔いする人なら薬を備えておくことも可能ですが
自分では車酔いしないつもりだったのに車酔いしてしまったという時には薬は手に入りませんよね。
そういう場合は、まずアメやチョコレートなど甘いものを食べて糖質を摂りましょう。
血糖値が上がると脳に良い作用をしてくれます。
また、梅干しも昔から車酔いに良いとされる食べ物ですが
実際、胃の刺激やむかつきを和らげてくれるので気分転換になります。
「気持ち悪くなりそう」という予感がある場合は
ミント系のガムやアメなどスッとするものを口にするだけでも気分転換になりますよ。
ただ、吐き気どころじゃなく、実際に嘔吐するほどの症状なら、水分補給が何よりも肝心です。
ただの水よりもブドウ糖やナトリウムが補給できるものがよいでしょう。
経口補水液やスポーツドリンクがあるといいですね。
もしくは、炭酸水も胃の働きを高め、自律神経の乱れを正常にするので効果が期待できます
(ただし、柑橘系のジュースは症状を悪化させることがあるので注意です)。
また、口にするものだけでなく、身に付けている衣服が体を締め付けているならそれを緩めることも意識してください。
お腹が圧迫されると気分が悪くなる原因になりますので
衣服を緩めて横になり、目を閉じてゆったりと呼吸をします。
車内で完全に横になることが難しいなら
シートのリクライニングをめいっぱい倒してなるべく地面と平行に近い姿勢を取るように心がけてくださいね。
水分と糖質を補給し、そういう楽な姿勢を取っていれば
今以上に症状が悪化することはないはずです。
車酔いにお悩みなら、車酔いしないように日ごろから体調を整えることも意識すると良いでしょう。
先ほども申しましたように、乗り物に乗る前に酔い止めの薬を飲むことは大切です。
実際の薬の効き目だけでなく、「薬を飲んだから大丈夫」という安心感が車酔いを防いでくれます。
酔わないという自信があれば実際車酔いしにくいものです。薬以外の予防策を挙げると
乗り物に乗る前日はたっぷり睡眠を取ることを意識してください。
疲れが残っている時や寝不足の時は車酔いをしやすい状態です。
また、食事も気を付けてください。空腹でも満腹でも車酔いしやすいですから
消化の良いものを適量食べることを心がけましょう。
あとは、乗り物に乗っている最中は車酔いを引き起こしそうなことを避けてくださいね。
車内でのゲームや読書は危険です。ふだん車酔いしない人でも気持ち悪くなってしまいます。
なるべく遠くの景色をぼんやり眺めて目を酷使しないことを意識してください。
いちばんいいのは乗り物に乗っている間中、ずっと寝ていることです。
眠ってしまえば車酔いも関係ありませんよね!!
まとめ
以上、車酔いの原因と症状、対策や予防策について見てきました。
車酔いしやすい人・しにくい人いろいろですが、いちばん大切なのは心配し過ぎないことです。
「車酔いしたらどうしよう、大丈夫かな…」という不安な心が車酔いを引き起こす最大の原因です。
また、乗り物の揺れやスピードの変化に脳が慣れてしまえばどんなに揺れても酔わないものなので
自律神経や平衡感覚が乱れないように、ふだんから鍛えておくことも克服につながります。
お子さんの車酔いが心配な場合も、親御さんが心配しなくてよいと安心させて
万一に備えて酔い止め薬を用意しておくと安心ですね。