融雪剤と凍結防止剤って実は違うんですよ。
えっ、同じじゃないの?そう思うのも無理はありません。
確かに似ている部分もあり、冬期に必要なものですしね。
両者の効果もかぶるところもありますが、しかし、決定的に違うところもあるのです。
今回は、そんな融雪剤と凍結防止剤の違いについて説明していきます。
両者の違いがわかれば、シーンに応じて使い分けもできるというものです。
それでは、順に説明していきましょう。
まずは、融雪剤から。
融雪剤とは?
融雪剤は、「雪」を「融かす」作用があり、主な成分は塩化カルシウムや塩化マグネシウムで、塩化物です。
では、この塩化物がどうして雪を融かすのかというと、理由は二つあります。
ひとつは「凝固点降下」、もうひとつは「溶解熱」です。
凝固点降下とはなんでしょう?
水が凍ると氷になりますよね。
これは液体である水が、個体である氷に変化したわけですね。
物質がその形を変えたわけです。
この液体が個体になる温度、つまり水が凍る温度、これを「凝固点」と呼ぶのです。
水が凍るのは0℃ですが、塩化物によって凝固点を0℃からさらに低くでき、本来ならば0℃で凍ってしまうところが、0℃でも凍らなくなります。
塩化カルシウムは、およそ-50℃前後まで凝固点を下げてしまいます。
つまり、相当の低温でも凍らなくなる、これが凝固点降下による効果になります。
溶解熱のほうはどうでしょう?
そもそも塩化カルシウムや塩化マグネシウムは水に溶けやすい性質をもっており、これらが水に溶けるときに熱が発生します。
この熱が溶解熱です。
この溶解熱によって、雪を融かす即効性が期待できるのです。
しかし、塩化カルシウムを成分とする融雪剤には、大きなデメリットがあります。
それは「塩害」です。
鉄製の構造物や車、さらには植物などにも大きな被害を与えてしまうのが塩化カルシウムの特徴なのです。
とくに車は車体の下が錆びてしまうなどの深刻な被害を受けます。
それでも、気温が低く大量の降雪に悩まされる地方では、塩化カルシウムでなければ対応できないケースもあり、まさに諸刃の剣といったところです。
では、次に凍結防止剤について見てみましょう。
どういう特徴があるのでしょうか。
凍結防止剤とは?
凍結防止剤は、「凍結」を「防止」する製品です。
凍結防止剤の成分としては、塩化ナトリウムなどの塩化物を含むものと含まないものとの2種類があります。
まず、塩化ナトリウムを成分とするものから説明していきましょう。
凍結を防止する原理は融雪剤と同じく「凝固点降下」です。
塩化ナトリウムを水と混ぜ合わせると、凝固点が0℃から-20℃前後まで下がり、この性質を利用するのが凍結防止剤です。
ただし、塩化ナトリウムには塩化カルシウムのような溶解熱は期待できません。
そのため即効性に乏しいという特徴がありますが、他の塩化物と比べても安価で、かつ使用しやすく効果も持続するというメリットがあります。
ただし、塩化物ですので、「塩害」と無縁ではありませんので、その点がデメリットといえるでしょう。
そこで、塩化物を使用しない凍結防止剤というのもあります。
どういった成分を使用しているかというと、酢酸ナトリウムや尿素、ギ酸ナトリウムなどが代表的なものです。
これら非塩化物系の凍結防止剤は、確かに塩害を引き起こすことはありませんが、融氷の即効性や持続性などは、塩化カルシウムや塩化ナトリウムには及びません。
-5℃程度の気温であればそれほどの差はありませんが、気温が低下すればするほど、その性能の差が際立ってきます。
さらに、コンクリートの剥離現象であるスケーリング劣化の問題もあります。
この点に関しては、塩化物よりもスケーリング劣化が激しいのです。
「凍結防止剤の性能等の取りまとめ調査について 」国土交通省 北陸技術事務所
こういった点がデメリットとしてあげられるでしょう。
それでは、融雪剤と凍結防止剤の使用方法は?
融雪剤と凍結防止剤の正しい使用方法
まず、融雪剤と凍結防止剤の共通点と相違点を確認しておきます。
共通点は、どちらも「凝固点降下」という原理を利用する製品であることでした。
凍結防止剤は「凝固点降下」の原理を主に利用する製品ですよね。
「凝固点降下」させるための成分には塩化物系と非塩化物系があり、それぞれでその性能が異なるのでしたね。
一方、融雪剤は、もうひとつの原理である「溶解熱」も利用している製品です。
成分である塩化カルシウムなどが持っている性質で、デメリットとして「塩害」があげられます。
こういった特徴をもつ融雪剤と凍結防止剤ですので、使用方法もその特徴にあわせて変えるのがいいのではないでしょうか。
まず、融雪剤から説明していきます。
融雪剤の主成分は塩化カルシウムでした。
使用するタイミングとしては、雪が降る前にまけば、凍結と積雪の防止になり、融雪剤は「溶解熱」の効果もありますので、雪が降ってから撒く方法でも可なんですね!!。
シャーベット状に雪を溶かして雪かきで片づけるという方法でもいいでしょう。
その際にどのぐらいの量を撒くかということですが、目安として、1㎥につき50~100g前後でいいでしょう。
ただし、塩化カルシウムを素手でさわるのはおすすめできませんので注意を。
必ず手袋を使用するか、スコップですくうか、直接触れない工夫が必要です。
また、塩化カルシウムは塩害のおそれがあるため、使用の際は注意してください。
Amazonで入手可能な商品をいくつかご紹介しておきます。
・讃岐化成 ロードクリーン粒状10kg RCG10 1,496円
・昭和貿易 凍結防止剤 アイスキラー 4kg 袋 1,699円
・長良化学 まくだけで雪や氷をとかす融雪剤 雪とけっ子 5Kg 1,989円
車の錆びの原因になるだけでなく、植物や土にも悪影響を及ぼしますから、住宅地で使う場合は隣近所の敷地にも気をつけた方がいいでしょう。
つぎは凍結防止剤です。
塩化物系のものとしては、塩化ナトリウムを成分とするものが多いですね。
こちらの使用方法としては、雪が降る前に、あらかじめ撒いておくことで凍結防止が期待できます。
塩化ナトリウムの凝固点は-20℃前後ですから、よほどの寒冷地でなければ十分対応できます。
ただし、「塩害」の問題があるのは融雪剤と同じです。
代表的な製品を紹介しておきます。
・氷雪バスター 粒状 クエン酸配合塩化ナトリウム 10kg (1) 1,800円
非塩化物系のものとしては、尿素を成分とするものが入手しやすいです。
こちらも降雪が予想される前に撒いておくことで、凍結予防が期待できますよ。
・コンパル 無塩 凍結防止剤 融雪くん 10kg 3,612円
その効果については、いろいろと意見もあるようです。
塩害の心配はありませんが、効果は塩化カルシウムや塩化ナトリウムに比べれば劣るようですね。
使用する環境や予算なども考慮して選択するのがいいでしょうね。
だから、雪国などでは車のアンダーコートが必須アイテムになるんですね。
車のアンダーコート施工してますか?特に雪国にお住まいの方!!新車を購入するのであれば、絶対に欠かせないと思います。数年後には、施工してある車と、施工して無い車との差は歴然ですから。見えない所からの錆・浸食程怖[…]
まとめ
融雪剤と凍結防止剤には、このような違いがあったんですね。
北国の人にはなじみ深いものですが、細かい違いまでは知らなかったですよね。
最近は関東圏でも積雪で大混乱になることがありますので、さらに多くの方にとってお馴染みの製品になるかもしれません。
両者の違いを念頭に置いて、それぞれのシーンで活用していきたいものです。